2019/11/25
「laisse-moi.」って繰り返す 今日観た映画の主人公が君のようだねと 去年の秋と変わらぬ笑顔で語る君と二人 ネルケン

2019/11/25
金木犀の朝 まどろむ窓辺には 君と僕の すれ違いの分量の水蒸気に 曇る 硝子 僕は 右手の薬指と親指 水に滑らせて 二重螺旋の模様を描いてみた 誰も見ていない朝だから 誰にも気づかれない朝だから ここにある景色は 多分 一筋の陽の光のような脆さ 一雫の水滴のような儚さ 僕は片目を閉じ 硝子の上の透明の渦の その隙間から 君を覗いてみる...
2019/11/25
夏の庭の午後は PalestrinaのKyrie 広がる旋律 芝の上に戯れ  青く香る蒸気は 去年君が触れた土と 今年風が揺らした葉から 立ち昇る それは 翡翠色に光る  音の粒子   君は瞳を閉じて 少女のように柔らかな脚で 白い薔薇の隣に 立つ 静かに僕を見つめて 「雨が降るの」ときく 君は僕に鳴いて欲しいの 僕も瞳を閉じてみる 白磁の光が 薄い瞼に透けて...
2018/12/14
去年の秋に、ある一本の柿の木が気になっていた。 川奈の海を望む小高い丘の上に建つ恵え鏡院きょういんという古寺から、川奈港へと下る緩やかな坂道の途中にある民家の庭に、その柿の木はひっそりと、人骨のような枝を広げて立っていた。...
2018/04/04
藍色の海 恋色の桜 二つ重なりし春に 二人離れり

2017/11/06
美しいものを 見ろというのですか 汚いものを 見ろというのですか 君は君のその 掌を見たのですか そこには何がありますか 「迷いなき言葉」に窶れた 皺くちゃの皮膚ではないのですか 美しいものを 見ろというのですか 汚いものを 見ろというのですか そんなことより 僕は 僕自身の掌を 見たいのです この掌が 自分の皮膚と 感じたいのです ただ それだけなのです
2017/11/06
奴隷のように生きるなら、 裸になって、泥だらけになって、 無様に死にたいのに…

2017/11/06
寂れた裏路地の小さな階段 十二月の冷たく乾いた空気に ほんの少し肩をすくめた 此処にいる自分を誰も知らず こんなにも私は自由で こんなにも嘘で こんなにも苦しい 私はただ、若さを抱きしめ 幼さと愚かさを その言葉以上に感じているはずだった パリ十区 灰色の運河さえ私を映さない 私は未だ 言葉さえ 知らないから
2017/11/06
何かを感じたくて来た海で もう何も 感じなくなっていることに気付いたけれど 荒れ狂う海風は こんなにも凍った心を、粗野に洗ってくれること 子月の漁師町 吹く 吹き上がる 冷たく 溶かす
2017/11/05
塀をつたう蔓草のように 僕たちは 生きればよかったのでしょうか 日陰にいる 草葉のように 僕たちは 小さく佇めばよかったというのでしょうか 上を向いて歩こうなどど いつの日にか 植え付けられてしまう僕たちは ただ その駅の脇にある 赤い郵便ポストのように ただそこに あるだけでよいのだと 教えて欲しいのではないでしょうか...

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